カウンセリングで気になること:料金、カウンセラーとの関係

先のブログエントリで、相談者の方にとっての個人開業オフィスの利点についてご説明しましたが、それに関連してもう少し詳しく記したいと思います。

料金について

個人開業オフィスは利点ばかりでなく、利用者の方にとってはデメリットになり得る点もあることはきちんとお伝えしておくべきだと思います。いちばんわかりやすいところでは、料金の問題があるでしょうか。
相談を考えておられる方によってさまざまかとは思いますが、ごく一般的に考えて、開業心理オフィスでのカウンセリングの面接料金は安くない、あるいは高いと感じる方はいらっしゃると思います。金額だけを見れば実際そう思われても不思議はありません。スクールカウンセリングでしたら料金はかかりませんし、精神科/心療内科など医療機関のカウンセリングでは、保険診療内の3割負担ですと大体1回1000円〜3000円程度でしょうか(近年医療機関でも、カウンセリングは保険診療外の別料金とするところが増えており、その場合にはもっと高くなります)。

それに対して心理士の個人開業オフィスでは、特に決まった額はなく、それぞれのオフィスごとの考え次第です。群馬県内ですと1回6,000円以上のところが多いようです。これが例えば東京都内ですと、安くて8,000円からさらに1万円以上のところも珍しくないようです。

開業心理オフィスの面接料金はなぜ他の施設と比べて高いのでしょうか? またどのように決まるのでしょうか?
それぞれの事情があるでしょうが、開業オフィスなので家賃や光熱費など固定費がかかること、医療保険が適用できないことが大きいと思われます。また、カウンセラーの専門的な経験や知識や技量、知名度によっても料金は異なるでしょう。これはカウンセラー自身が専門家としての自分を値付けすることと言えるかもしれません。

一見突飛に見えるかもしれませんが、わかりやすい喩えとしては、レストランと似ていると言えるかもしれません。レストランは、低価格の大衆的なチェーン店から、オーナーシェフが経営する他では味わえない特別な料理を出す高級店まで、さまざまなものがあります。また、和食・フレンチ・イタリアン・中華・創作料理など、さまざまなジャンルがあります。カウンセリング/心理療法もそれと同様のところがあります(この点についてはあらためて別のエントリでお伝えしたいと思います)。

先のブログエントリでご説明しましたように、開業心理オフィスは、組織や施設に所属する形のカウンセリングでは得られないよさがあります。しかし、他の施設に比べて高いことの多い料金が、相談者の方にとって負担となり得ることもまた事実です。

まえばしカウンセリングオフィスは、そうした事情を鑑みて、カウンセリングを必要とされる多くの方がなるべくご利用になりやすいよう、比較的低価格の料金で、かつアクセスしやすい場所に開設しています。

カウンセラーとの関係について:カウンセラーを選ぶこと

開業心理オフィスの場合、相談に来られる方は、既に他で相談されていたり、いろいろ迷われて来られることが多いと思います。上記の料金のこともありますが、そればかりでなく、ご自身の問題の見通しがなかなか立たない経験を経て来られていると、カウンセラー選びにも慎重になると思います。個人開業オフィスの場合、果たしてこのカウンセラーで大丈夫なのか、相当迷われると思います。

それぞれの開業心理オフィスは、どのような考えでカウンセリングを実践しているかをホームページで提示していますが、本当にご自身に合うのか、実際にやってみないとわからないと思います。これはそのとおりと言う他ありませんし、その意味では「賭け」の面もあります。組織や施設でのカウンセリングの場合、特にカウンセラーが複数いるところでは、仮に合わなかったとしてもカウンセラーの交代を求めたり、またうまくいかないことを施設側に伝えて対応を求めることができます。ところが個人開業オフィスの場合、カウンセラーは1人だけですからそれができませんし、そのためその点が個人開業オフィスのデメリットと言えるかもしれません。

けれども相談に来られる方にとって非常に根本的で大事な点があります。それは、料金を支払う立場であること、したがってその方ご自身が必要としているカウンセリングを、カウンセラーに求める権利があるということです。もしご自身が期待されていることがこのカウンセラーでは得られそうにないと思ったら、やめることもできます。これは当たり前のことではありますが、カウンセリングにとって非常に根本的です。そしてこの点は、組織や施設のカウンセリングであっても、本質的には同じなのです。ただ、組織や施設のカウンセリングでは、その本質が見えにくくなりがちであり、個人開業オフィスの場合にはそれが非常にはっきりすると言えます。

ではそのことが相談者の方にとってどんなことを意味するのでしょうか? 一見すると、組織や施設のカウンセリングの方が選択の幅が広く、個人開業オフィスはその自由がないように見えるかもしれません。しかし、カウンセリング/心理療法が、相談者の方が抱えておられる問題に取り組み、歩んでいく方向を見出していくことであるならば、カウンセラーがご自身に合うか合わないか、物足りない、不満があるとするならそれはどんなことなのか、それをはっきりさせることは非常に重要です。なぜなら、物足りない、不満があるということは、ご自身が本当に求めているものが何なのかに気づきかけている徴だからです。また、足りていないと感じるなら、それに早く気づけた方がよいことも確かです。相談者の方にとって費用ばかりでなく時間も貴重なものだからです。

そのように考えるとき、個人開業オフィスでのカウンセリングは、組織や施設のカウンセリングと比べて、相談者の方が求める方向をはっきりさせやすいと言うことができるかもしれません。そうだとすれば、カウンセラーが1人しかいない個人開業オフィスのデメリットと思えることは、必ずしもそうとは限らず、むしろメリットでもあると言えるかもしれないのです。